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■■ 僕が愛した君のすべて ■■
...20
「何から話したらいいのか……」
手塚は自分の足先を見つめるように俯いてぽつりとそう呟いた。
乾はちらりとその声に視線を向けたが、それはすぐに手元の一文の上に戻されてしまった。
何を言えばいいのか分からず、それでも手塚が躊躇いながらも話し出そうとしていることに手を貸したいと思う。
しかし同時に、自分がこのことを先に大和から聞いていたと知ったら手塚はどう思うだろうかという不安を感じてもいた。
「それは、俺の過去なんです」
僅かに手塚の動く気配を感じてそちらを向くと、少し背を丸めて俯いていた手塚が乾の方に身体を向けてページの開かれた日記を見つめていた。
しかしそれきり手塚の口が開くことはなく、軽く噛まれた唇が小さく震えだしたかと思うとその頬に小さな雫がこぼれてきた。
そのことに手塚自身が慌てたのか、少し横を向いて眼鏡の下から目元を押さえるようにして顔を隠してしまった。
「俺は……」
それでも乾に何かを伝えようと声を出してみるけれど、しゃくりあげてくるものがあるらしく上手く言葉にはならない。
そんな手塚の姿を見て、乾は静かにその側まで腰を移すとそっと両腕を手塚の身体に回してやった。
抱きしめてやりたいとか具体的に行動を考えたわけではないが、震えている手塚を一人で放っておくとどんどん孤独に入り込んでいってしまいそうで、こうすることで少しでも手塚の気持ちを抑えられるならと思った。
腕の中で時々胸や肩を上下させて、きっと声を抑えようとしているのだろうがそれでも漏れてくるくぐもった手塚の嗚咽を聞きながら、乾はそっと自分の顎を彼の頭に乗せてなだめるように囁いた。
「大丈夫だから」
そうして髪を数回撫でるように指を滑らせる。
「大丈夫。ちゃんと分かってるから」
その言葉に一瞬手塚の顔が自分を見上げてきそうになったのを察して、乾は髪を撫でていた手に僅かな力を入れてそれを制した。
目が合ってしまえば、自分もまた動揺しているのだと悟られてしまいそうで嫌だったのだ。
今は自分が手塚の混乱した気持ちを受け止めてやらなければいけないのだと、そんな自分が僅かでも不安の表情を見せたら更に手塚の心は傷つくのではないかと、そう思っていた。
しばらくそうしてじっとしているうちに手塚の気持ちが落ち着いてきたのか、その嗚咽も途切れ途切れになりやがて途絶えた。
その間、乾はなぜ大和が手塚に真実を話してしまったのかを考えていた。
今まで隠してきたことなのに、何の理由もなくいきなり気持ちが変わったとも思えない。
―― どうして……?
何があったのだろうかとこれまでの大和の様子を思い出そうとしているうちに、頭の中に浮かんできた彼の一言があった。
『僕は彼が直接聞きにくるまでは多分話さないと思いますから』
「ねえ、少し聞いてもいい?」
手塚の身体に回していた腕に僅かに力を入れて、乾は静かになっていた彼に声をかけた。
少しの間を置いて腕の中でこくりと手塚の頭が頷く。
「君が大和さんに聞きたかったことって、何?」
「……自分のこと」
腕の中にいる手塚の声は小さくて少し曇っているため聞き取りづらかった。
「自分のこと?」
再び手塚の頭が頷いて、そうして深呼吸をするように胸を上下に大きく動かした。
「自分の小さい頃のイメージが頭にあって、やっぱり病院にいて……。前にそのことを先生たちに話したら、昔からしょっちゅう身体を壊して入院していたりしたからだろうって」
「うん。それが何か気になるの?」
「先生の顔が……、なんとなく同じ人に思えたんです」
「どの、先生?」
「小さい時にいた病院の先生と、ここに来る前にいた病院の先生が。本当にイメージだけなんですけど」
「……そっか」
「それから……」
少しの沈黙の後に言おうとした言葉が途切れて手塚が小さく身じろぎをする。
乾はそのまま手塚が身体を離してしまいそうに思えて彼に回している腕を緊張させたが、すぐに手塚の身体は動かなくなった。
「海に行った日の夜、気がついた」
その言葉に乾の心臓がキュっと締めつけられたような気がした。
「意識はあったんだけど身体が動かなかったんです、目を開けるのも辛いくらいで。だから祐大がずっと側にいたことも分かってました」
淡いオレンジ色の中に浮かんだ光景が乾の脳裏にはっきりと蘇ってくる。
大和はそこで手塚の髪を梳いていた。
乾は今は自分の胸のあたりにある手塚の髪をもう一度静かに梳いてやる。
あのとき大和が感じた髪の感触は手塚が熱を出していたせいでもう少し湿っていたかもしれない、そんなことを考えながらゆっくりと何度も腕の中の髪に指を滑らせた。
「俺を手塚君と呼んでいたのは、祐大です。話しましたよね、夢の中で誰かに呼ばれることがあるって」
「うん」
「それに、俺に……キス、してきました」
キスという単語だけが小さい声で呟かれたのは、性的な経験が全くない手塚にはその言葉を口にすることさえ恥ずかしく感じるものだったからだろう。
「混乱しました、なんだかいろんなことが、バラバラになっているような……気がして」
話をしているときの手塚の息遣いが少し荒くなってきているように感じた。
きっと大和の部屋に行き話をして日記を受け取り、その後ずっとそれを読んでいたのだろう。
精神的にも肉体的にも相当まいっているに違いない。
「ねえ、疲れてるだろ。少し休む?」
手塚は緩く頭を左右に振って大丈夫と小さく答えた。
しかし身体の力を僅かに抜いたのか、腕の中のそれが少しだけ乾に体重をかけてくる。
まるで手塚の過去も未来も、心までも全て自分に委ねられているような気がして乾は少しだけ緊張したものの、それでも自分の身体に触れている部分から伝わる手塚の暖かさが心地よいと感じていた。
「本当は、書斎で手塚国光のことを知ったときから、どうしようか迷ってました。ここでの生活を変えるのが怖かったから、何か疑問があったとしても、見ないふりをしていた方が……いいかもしれないって。
自分のこと、知らないのは不安で仕方なくて、本当に知りたいと思うけど……知ったら今が壊れてしまうような、それも怖くて……」
「聞く気になったのは大和さんがイギリスに行くって言ったから?」
「……はい。きっとその話がなかったら、俺はずっと迷ったままで、祐大に何かを聞こうなんて……しなかっ…た……」
突然、手塚の身体がぐったりと寄りかかってきたため乾は片手をベッドについてそれを支えた。
さっきよりも荒くなった息が乾の胸にかかって、その湿った暖かさがシャツを通して感じられる。
「国光?」
乾は一旦体勢を立て直してから手塚の身体をそのままベッドに横たえた。
「ごめん……、やっぱり、疲れ…た……」
「ん、そうだね」
既に目を閉じている彼に足元に纏められていた薄手の毛布を掛けようとしたが、思いなおしてクローゼットに向かい新しいタオルケットを取り出した。
ふわふわとした感触が気持ちいいそれを手塚の身体にかけてやり、乾は枕もとの床に腰を下ろした。
なんだか昨夜と同じような状況になっているなと苦笑してしまう。
そうして手塚の目にかかった前髪をそっとよけてやってから、そのまま数回髪に指を絡ませた。
こうしていると心が穏やかになってくる。
大和が同じ行為をしてもそれは大和を苦しめるだけだった。
この違いは乾と大和の手塚に対する気持ちの違いだ。
乾は今の自分の立場にほっと息をついてから、苦しむと分かっていても大和は同じことをしただろうかと、横たわる手塚に唇を寄せていた彼の姿を思い出した。
「……しつ…う、され、たね……」
「え?」
もう眠ってしまったかと思っていた手塚の声に、乾は髪にやっていた指を離して相変わらず目は閉じられているその顔を見つめた。
「なに?」
「きっと祐大は……俺に、失望したんだ……」
その言葉に乾は思わず「違う」と大声を出しそうになった。
しかし、じっと目を閉じているその様子から今のが意識あってのことなのかうわ言で言ってしまったことなのか区別ができず、一度出かかった言葉を呑み込んで変わりに大きな溜息をついた。
「その逆だよ」
乾は小さく呟いて、もう一度手塚の髪に指を伸ばした。
乾は身体を動かそうとして首から肩にかけての鈍い痛みに眉をしかめた。
「いた……」
思わず手を首の後ろあたりに当てて緩くさすってみる。
妙な体勢で眠り込んでしまったせいか身体が固まってしまったようで、起き上がろうとするとあちこちに痛みが走った。
暖かい風呂に入りたい気分だ。
ゆっくりと首や肩を動かしてから背中を預けていたベッドの方に振り返る。
手塚は乾に背を向けた格好で顔の半分以上をタオルケットで隠すようにして眠っていた。
彼が呼吸をするたびに緩やかなリズムで水色の布が上下している。
昨日の様子からまた体調を崩したのではないかと心配になって、僅かに出ている手塚の額に手を当ててみたが熱が出ていたりする様子はなかった。
それに一安心したものの、手塚の体調が悪くないということは、つまりここでの彼の生活が今日で終わりになるということだ。
手塚と不二が東京に戻るのは今日の午後の予定だった。
よく眠っている手塚を起こさないように、乾は静かに立ち上がるとまだ少し痛む身体を動かして浴室へ向かった。
浴槽の縁に腰をかけて湯が溜まっていくのをじっと見つめている。
考えなければいけないことなのか考えても仕方がないことなのか、手塚と大和のことが頭をぐるぐると巡っていて結局は何も考えられないままだった。
あと数時間もすれば手塚はここを離れてしまう。
このところ大和はずっと部屋に篭っているようだし、きっと見送りなどもしないつもりだろう。
乾自身は手塚たちより一日遅れて明日、町の宿に預けっぱなしになっている荷物を受け取りそのまま家に戻る予定になっていた。
浴槽に湯が溜まっていくのを見ていると、まるで自分の心までもが生暖かいものに覆われていくようで気分が滅入りそうだった。
湯がじわじわと量を増してくる様子を見ていられず、乾は服を脱いで半分程度までしか湯が入っていない浴槽に腰を下ろす。
浴槽に頭を預けてじっとしていると次第に身体の緊張は溶けてくるものの、それに反するように気持ちはどんよりと沈んでいくような気がした。
「おはようございます」
頭に被ったタオルで髪を拭きながら浴室を出たところで手塚の声が聞こえてきた。
目を上げてみると手塚はベッドに横になったまま身体をコチラに向けている。
「ああ、おはよう」
「天気、よさそうですね」
「ん? ……そうだね」
乾は中途半端に締まっていたカーテンの間から明るい陽射しが差し込んでいるのをチラっと見て答えた。
手塚は寝返りを打って窓の方に身体を向けると、肩の辺りまでかかっていたタオルケットを頭が少し見えるくらいまで引き上げてしまった。
乾はクローゼットから出した服に袖を通しながら、そんな手塚の様子に目を離せずにいる。
「そこの庭の左側に大きな樹があるでしょ?」
ふいにくぐもった声で手塚が話し始めた。
「え? ああ」
もちろん部屋の中からでは見えないのだが、乾は無意識にそちらの方に顔を向けて頷いた。
樹のてっぺんが屋根にまで届くほどの高さがあるそれは、細い葉を持ったモミだった。
「6月になるとあの樹の下辺りにシロツメクサがたくさん咲くんです」
「そうなんだ」
「……来年、見られないのが残念だなあと思って」
そんな手塚の言葉にどう答えていいのか分からずに、乾はとりあえずベッドの側まで足を運んでその縁に腰を下ろした。
手塚は相変わらずじっと窓の方に目を向けている。
「みんながここからいなくなっても、枯れないですよね?」
「ああ……、大丈夫。毎年ちゃんと花を咲かせるよ」
手塚は少しだけ乾の方に視線を向けると「うん」と僅かに頷いて、再び疲れが出たかのようにゆっくりとその瞳を閉じてしまった。
芝生の庭へと続く扉を開けるとテラスのテーブルに不二が頬杖をついて座っていた。
もう既に陽射しも強くなり始めて気温も上がってきているのに、一体どこを見ているのか分からない不二の表情は酷く涼しげで、明るい光を受けた彼の瞳はいつも以上に透き通って見えるような気がする。
いつも穏やかに笑んでいるその口元が僅かに歪んでいると思った瞬間、不二は扉の開いた気配に気づいて振り向いた。
「おはよう」
そう言った口元はいつもの優しげな形を取り戻していた。
乾も「おはようございます」と答えて不二の向かい側の椅子に腰を下ろす。
「手塚は君の部屋にいるの?」
不二は乾の前にカップを置いて、それに紅茶を注ぎながら訊ねてきた。
カップが湯気を立てる紅茶で満たされると再び頬杖をついてにこりと乾の瞳を見つめてくる。
「はい。さっき一度目を覚ましたんですけど、また寝てしまったみたいです」
「そう。寝かせておいてやりたいけど、……でもそろそろ起こさないとね」
「……そうですね」
もしかして手塚の体調が悪いとなればもう少しここにいさせてやれるだろうという考えが乾の頭を過ぎったけれど、そんなことをしても何の意味もないことは乾自身十分に承知していた。
少なくとも手塚は既にここを離れることを決めているらしい。
それが彼自身、心から納得してのことではないのだろうけれど……。
―― 時間が短すぎる。
いきなり大和からイギリス行きを告げられ、更に信じられないような真実を告げられ、この短い間で何をどうやって納得しろというのだろう。
不二にしてもそれは同じで、きっと今も一人で今回の大和の行動を訝しんでいたに違いない。
「手塚の体調はどんな感じ?」
「ええ、少し疲れているようです」
「熱は?」
「それは大丈夫みたいですけど」
「そう。食事を届けてもあまり食べてないんだ。顔色も悪いし……」
不二の喋り方はまるでぽつりと呟く独り言のようだった。
その表情にはいつもの笑みは浮かんでいない。
手塚のことを実際はどう思っているのか定かではないけれど、それでもやはり彼のことは心配なのだろう。
もしも手塚が真実を知っていると聞かされたら、一体不二はどんな顔をするのか。
そういえば、と乾はふと疑問を感じた。
不二もあの施設の一員であることを、そしてこの屋敷に来たのも自分の監視のためであることを手塚は知っているのだろうか?
手塚が持っていたのは「手塚国光」の日記だけだ。
少なくとも日記を読んだだけでは研究のことは分からないはずだった。
「東京に行っても、不二さんは国光と一緒に暮らすんですよね?」
「ん? そうだね。まだ手塚一人じゃ不安だからね」
不二は伏せ目がちにじっと手元のティーカップに視線を注いでいた。
いつもなら、こんなふうに質問に答えるときの不二は必ず小首を傾げて相手の瞳を見つめてくるのに。
「不二さんは……、国光と二人で暮らしていけますか?」
不二の瞳が上げられたかと思うと鋭い光を含んで乾を見つめてきた。
しかしそれはわずか一瞬のことで、すぐにその表情は彼独特の穏やかなものに変わってしまった。
「大丈夫だよ、心配しなくても。少なくとも、僕は手塚が嫌いじゃないから」
その言葉に乾の眉が僅かに顰められ、それに気づいた不二はくすりと笑って肩を竦めて見せた。
「別にふざけているわけじゃないよ。でも……」
ふっと笑みが消えたかと思うと視線を伏せて小さく息をついた。
「きっと君には分からない」
そう言って不二は立ち上がり部屋へと通じる扉に向かった。
ノブに手をかけてドアを押し開け、しかしそのまましばらく不二の動きが止まったかと思うと顔だけを少し振り向かせて「ごめん」と小さく呟いた。
「いえ……」
ほんの僅かながら、その本音を見せた不二から乾は目が離せなかった。
―― そうだ、この人も囚われたままだったんだ……。
大和がイギリスに行くと告げた夜から乾の頭を占めていたのは手塚のことだった。
もちろんそんなつもりはなかったのだが自分は不二の気持ちを察することを忘れていたのだと、甘さの消えた彼の声に教えられた。
やはり自分は口を出すべきではないのだ。
これまでに幾度も感じたことではあったけれど、最後の最後にきて乾はそのことを痛感した。
「すいません」
視線を外すことなく乾はぽつりと呟いたが、しかし既にそこに不二の姿はなく扉は閉ざされている。
それでも乾はじっとその扉を見つめ、もう一度「すいません」と自分にも聞こえるか聞こえないかの小さな声で繰り返した。
気がつけば微かな風が乾の頬や首筋を撫でていく。
その風が昨日の朝の手塚を思い出させた。
突然の強い風に顔をしかめた手塚。
そうして大和の部屋へと向かったその表情。
すいませんと言いつつも、やはり手塚のことを考えながら乾は眼鏡を外してゆっくりと目頭を揉んだ。
数時間後、乾は玄関の前に立っていた。
目の前の車には既に手塚とホームズが乗り込んでいる。
後ろのトランクを開けて幾つかの荷物を積んでいるのはドライバーだった。
しばらくして扉が開け放されたままの玄関から不二が出てきた。
「それじゃあ、先に行くね」
乾を見上げながら不二はいつもの柔らかい声でそう言った。
「気をつけて……」
そんな乾の言葉を聞いて不二はこくりと頷くと、車の助手席のドアを開けてその身を滑りこませた。
トランクに荷物を積み終わったドライバーが乾に小さく会釈をして運転席に乗り込む。
するとそれまでじっと顔を伏せていた手塚がウィンドウを開けて僅かに顔を覗かせてきた。
何かを言いたそうなその表情に、乾は背中を丸めて「ん?」とその瞳を見つめる。
「ありがとうございました」
乾は口元を緩めると小さく首を二、三度振ってみせた。
「無理はしないようにね」
「はい」
「俺もすぐ東京に戻るから」
手塚はそれには無言で頷き、それから視線を上の方に向けた。
乾もつられてその方向を見上げてみる。
それは大和の部屋のある方だった。
分かってはいたがやはり大和は部屋から出てこなかった。
不二がドライバーに合図をしたのか、車は小さな砂利を幾つか飛ばしてゆっくりとその場から動き出した。
「気をつけて」
乾の言葉に手塚はもう一度視線を戻して頷いた。
それから丸めていた背中をまっすぐに伸ばして、乾は背の高い木々に囲まれた敷地から車が出て行くのを見送り大きく溜息をついた。
車が見えなくなってエンジンの音も聞こえなくなって、それでもしばらくその場に立ち尽くしてじっと門の方を眺めている。
やがて乾は踵を返して屋敷の中に一歩を踏み入れた。
途端にがらんとした虚しい気持ちに襲われる。
もともと広い屋敷ではあるけれど、二人がいなくなったと思うだけで今までよりも数段広く感じてしまう。
その中を乾はホールを抜けて歩きなれた階段を上り一番奥の部屋に向かった。
何かを話そうと思ったわけではない。
ただ誰かと一緒にいたいと思っただけだった。
しかしこの屋敷には大和と自分しかいない。
だから、今は大和の部屋に行くしかなかった。
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(2004/2/12)
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