朝起きたらダンテの頭に猫耳がついていた。

いつも通りに起きて洗面所の鏡を見て初めて気がついたのだが、最初はまた悪戯をされたのだと思ったのだ。
年上のダンテはときたまおかしなものを買ってくる。
湯がショッキングピンクのゼリーになる入浴剤だとか、小さな瓶に入ったいかにもいかがわしい色をした液体だとか、見た目にもどうやって使うんだか分からないがきっと夜の玩具に違いないものだとか……。
だからまたへんなものを買ってきて寝ている間につけられたのだろうと思った。
が、それはひっぱっても取れないどころか強くひっぱると痛みがある。
しかも猫耳にもちゃんと体温がある。
ここで初めてダンテは自分の身体の異変に気がついた。

「おい!」
だーっと階段を駆け上がりダンテの部屋のドアをばたりと開ける。
カーテンを閉めきって薄暗い部屋のベッドには熟睡中のダンテ、近寄ってみればダンテの頭はいつもと変わらない。
もう一度自分の猫耳に手をやって寝ぼけているわけでも夢でもないことを確かめた。
「おい、起きろ! 大変だ!」
毛布から出ている裸の肩を揺すって起きろ起きろと繰り返す。
「ん……どうした?」
寝起きの声は掠れている。
本当はこの声がすごく好きなのだが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「耳、耳!」
「みみ?」
「俺の耳! 見てみろよ!」
言われたダンテはまだ目を開けるのも億劫なように眉根を寄せながらしょぼつく目で見上げてくる。
「耳がどうした」
「どうしたって、これ、これ! 猫耳が生えてんだろうが!」
「あー、そうだな。可愛いぞ」
全く驚きもしない様子でダンテは猫耳が生えた恋人を抱きこんでベッドに引っ張り込む。
「てめ……っ、はなせ! そうじゃねぇだろうが! つけてんじゃなくて生えてんだぞ!?」
「あー、よしよし、尻尾もあるな」
「……へ?」
腰のあたりをするりと撫でられて、げしげしと相手を蹴りつけていたダンテはぴたりと動きを止めた。
おそるおそる自分の腰のあたりを触ってみれば、たしかにふさふさとした長いものが生えている。
「いったい何なんだよ、ダンテ……っ」
ふいに猫耳にふっと息を吹き込まれ身体中にぞくりと鳥肌が立った。
「お、感じたか?」
「てめ……」
体格体力実力ともに上回るダンテに抱き込まれてはどうにも身動きが取れない。
それでもじたばたともがいてみるが、そんな抵抗はダンテの目を覚まさせヘタをすれば悪戯心を刺激するだけだ。
それは分かっているがそれでも自分にだって譲れないところはあるのだとダンテは懸命に抵抗を試みる。

「ふぁ……んっ」
はむ、と猫耳を含まれ舌を差し込まれ、思わず出てしまった声にダンテは慌てて唇を噛みしめた。
が既に後の祭り。
「そんな恰好で俺のベッドにきたんだから、期待してたんだろう?」
「して……ねぇっ」
はむはむと猫耳を甘噛みされて腰から力が抜けていく。
「もういいから大人しくしておけ」
「うるせっ、……ったく、このヤロ!」

とうてい敵わないと分かっていながらも抵抗せずにはいられない。
それだってあと少ししか持たないことも分かっている。
それでもいまだこういう場面で全てを委ね合えるほど素直になれないダンテは、げしげしと力ない膝蹴りを入れては精一杯の抵抗を続けるのだった。

 

2009/10/15


企画中に思いついて雑記に載せていたものです

 

back  home